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過去の開催実績

  • 2016年度 第4回
  • 韓国のギャンブル依存症対策について~江原ランド及び中毒管理センター~
  • 2017年2月23日~24日

    江原道

  • 2017-03-08
  • クレア・ソウル事務所では、1994年から、韓国に派遣されている日本の地方公務員を対象として「クレアソウルセミナー」を開催しています。
    先日、24名が参加して今年度第4回のセミナーを開催しました。
     
    (1)日にち
      2017年2月23日(木)
    (2)場所
      江原道
    (3)参加者
      韓国駐在の地方公務員24名
    (4)内容
      今年度第4回となるセミナーは、江原道旌善郡にある江原ランド及び中毒管理センターを視察しました。このうち、中毒管理センターの取組みについて紹介します。
     
     
     江原ランドは、廃れた炭鉱地域の経済を再生させる目的で2000年10月にオープンしたカジノ施設である。昨年、江原ランドホテルには年間310万人の来場者があったが、91%は一般的な観光客、残りの9%がカジノを利用した。
     江原ランドは、国が51%出資する公共企業であり、株式会社でもある。利益の25%を地域開発基金へ拠出し、同じく利益の15%を観光振興に対して拠出している。公共企業でもあるため、江原ランドは無限に利益を追求する企業ではなく、顧客保護の対策も行っている。
     具体的には、江原ランドの隣に、中毒管理センター(Kangwonland Addiction Care Center:通称:KLACC)を2001年9月に設立し、ギャンブル依存症に対する予防から社会復帰までトータルにサポートしている。このようなギャンブル依存症対策を実施しているのは、全世界で韓国とシンガポールぐらいである。
     中毒管理センターのギャンブル中毒予防治癒システムは、予防(広報)、治癒、再活(社会復帰)の3つのパートで構成しており、予防から再活までワンストップ管理を行っている。
     
    以下、質疑応答形式で中毒管理センターを紹介する。
     
    Q1:男女別・年代別で、年間何人の方が江原ランドを利用しているのか。
    A1:
     入場税で入場管理をしており、2016年は310万人が来場し、そのうち60万人がカジノを行った。男女比は7:3、年齢は平均45才くらい。月に5日、年に60日を超えて来場した方には強制的に中毒 管理センターを利用してもらうシステムとなっており、カジノに行った60万人のうち1%に相当する約6,000人が利用した結果となっている。
     
    Q2:入場者へのチェックはどのように行っているか。
    A2:
     入場の際に身分証明書(住民登録証)のチェックを行う。通過しなければならない入口を2箇所設置しており、二重チェックを行う。
     
    Q3:「常習性」が問題になると思うが、中毒管理センターを利用した6,000人のうち常習者は何人で、どのような対策をとっているのか。
    A3:
     まず、韓国人は月間15日までしか入場できない。月間15日最大まで来場した者を「多没入者」と見なし、CPGI(Canadian Problem Gambling Index。カナダの有病率の測定方法。)という尺度により専門家がカウンセリングを行う。2ヶ月連続で15日来場した人は必ず中毒管理センターに立ち寄らなければならない。
     
    Q4:カジノをしない人(310-60=250万人)は何を楽しみに来場するのか。
    A4:
     先ほどの年間310万人というのは入場券の延べ発券数であり、何度も来ている人が含まれている。そのうち、カジノをしたのが60万人ということ。スキー場もあるので、それを楽しむ人もいる。
     
    Q5:中毒管理センターの運営は、法律に基づいているのか。
    A5:法律に基づくものではなく、自発的に設立したものである。
     
    Q6:病院の治療費は誰が負担するのか。
    A6:本人負担はなし。治療費を一度でも支給された人は、永久的にカジノ立ち入り禁止となる。
     
    Q7:カジノの収益金のどれくらいを中毒管理センターの運営費に充てているのか。
    A7:
     41のプログラムを実施する事業費に43億ウォン。
    入院等の治療プログラムに関しては、開設からこれまでに423名が利用し、17億2千万ウォンを充てた。2016年は1兆5千億ウォンの収益のうち1%(150億ウォン)を中毒管理センターの予算に充てた。
     
    Q8:患者の家族に対する支援はあるのか。
    A8:直系家族1人までに対して患者と同じ支援をする。病院代月200万ウォン、3ヶ月600万ウォン。精神科の入院に係る経費は月20万ウォン、3ヶ月660万ウォンで、1人につき3回まで利用可能なため、3ヶ月×3回の9ヶ月(最大)で1,980万ウォンを支給することが可能。
    退院後の通院治療については、150万ウォン/人を上限に支援している。
     
    Q9:中毒管理センターの存在はどのように受け止められているか。
    A9:
     中毒管理センターの存在はカジノ利用者にとって面倒な存在であるが、カジノ賭博をやめた人にとっては「どん底から救ってくれた母のような存在」と非常に感謝されている。
     
    Q10:賭博に関係している職員に対して研修を行っているか。
    A10:
     中毒管理センターの職員とその直系家族は江原ランドへの立ち入りを禁止している。
    また、江原ランドの職員は1人あたり5回以上研修を受けなければならない。
    3500人いる職員のうち約2000人(ディーラー等直接カジノに関わる職員が1500人)が対象となっている。
     
    Q11:3つの条件(月6日以上、3ヶ月で31日以上、年間61日以上)があったと思うが、一つでも該当したら支援対象になるのか。それとも3つ全てに該当した場合のみ対象になるのか。
    A11:
     一つでも該当したら対象となる。15日、15日と2ヶ月連続で来場した場合は、クールダウンのため入場禁止期間を設けている。
     なお、年間61回以上カジノを利用する人を条件にインセンティブを設けている。利用上限 月15日の利用から1日減らす毎に5万ウォン助成する。月10日の利用にすれば25万ウォンを助成する。自主的に回数を減らすことに対して報償しているので、中毒を防ぐ効果がある。
    ※一度でもルール違反をすると二度とこのインセンティブ制度は利用できない。
     
    Q12:賭博中毒だと認定された人を強制的に入院させることはできるのか。
    A12:対応している法律もないことから、強制的に入院させることはできない。

    <中毒管理センターでの意見交換の様子>



    <集合写真>