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過去の開催実績

  • 2016年度 第3回
  • 韓国におけるアンテナショップ事情 ~江原道農水特産物真品センター~
  • 2016年11月30日(水)

    ソウル特別市

  • 2016-12-19
  •  クレア・ソウル事務所では、1994年から、韓国に派遣されている日本の地方公務員を対象として「クレアソウルセミナー」を開催しています。
     先日、20名が参加して今年度第3回のセミナーを開催しました。

    (1)日にち
      2016年11月30日(水)

    (2)場所
      ソウル特別市

    (3)参加者
      韓国駐在の地方公務員20名

    (4)内容
       今年度第3回となるセミナーは、ソウル特別市麻浦区にある江原道農水特産物真品センター
     (江原道アンテナショップ)の視察と当事務所が韓国地方行政研究院(KRILA)と共同で毎年開催
     している日韓共同セミナーへ参加しました。このうち、江原道農水特産物真品センターの取組みに
     ついて紹介します。



    朝鮮半島の中東部に位置し、2018年には第23回冬季オリンピックの舞台となる江原道は、面積約16,874平方キロメートルで17広域自治体中2番目に大きく、人口約151万人と下から5番目に少ない広域自治体である。1990年代頃、ソウル特別市を中心とする首都圏には、50以上の市と郡がアンテナショップを出店していたが、2016年現在、首都圏には、唯一、江原道のアンテナショップ(正式名称:江原道農水特産物真品センター)があるのみである。
    ここでは、江原道アンテナショップが唯一持続できている、その経営方法や地方PRの方策について紹介する。


    江原道アンテナショップの沿革
    江原道アンテナショップは、2001年にソウル特別市江南区にオープンした。オープン当初、店舗では江原道の特産品のほか、一般のスーパーで販売している商品を販売していたが、食料品から日用品までワンストップで購入できるeマートやロッテマートなどの大型スーパーの台頭、地代が高い地域への出店によるテナント料やその他の経費の大きな負担等により、他自治体のアンテナショップと同様数年で閉店することとなった。その後、2度目の出店、閉店を経て、2008年10月、江原道民会館に3度目のオープンをし現在に至っている。


    売上げの約80%が店舗以外の実態
    現在の店舗に移転してからの売上げは表1のとおりである。年々売上げを伸ばし、昨年11月末現在の売上げは9,768百万ウォンと、2009年の約3.9倍になっている。また、2016年の売上げを分類別にみると、店舗での売上げが全体の20%、ソウル市内の飲食店及び学校給食(ソウル市内の中高校各1校ずつの計2校)への提供が60%、インターネット販売が10%、直産市場販売が10%である。
    アンテナショップは、江原道庁職員2名と6名のスタッフの計8名で運営されているが、そのうち2名が営業を行っていることが、飲食店等の売上げが全体の6割にも達するほどの結果に繋がっている。また、毎週水曜日に江原道民会館正面で生産者が直接農産物を持ち込んでの販売や散歩やサイクリング、夏には涼をとりに人々が集う市民の憩いの場である漢江(ハンガン)公園、江原道との姉妹交流自治体である麻浦区庁舎、高速道路休憩所など様々な場所で直産販売を行い、必要なテント(販売所)やカード端末機(注)などの貸与の支援を行い、店舗以外での売上げも確保している。


    (注)韓国ではほとんどの場合、クレジットカード等によるカード決済を行う。(2013年韓国内での決済のうち、約87%がカードによる決済。) 出典:国家統計ポータルサイト「電子税源管理の現況」


    (表1)年別売上高                                (単位:百万ウォン)
    ‘09 ‘10 ‘11 ‘12 ‘13 ‘14 ‘15 ’16.11
    2,523 4,120 5,231 6,023 6,571 7,008 7,535 9,768



    このような方法で年々着実に売上げを伸ばしたことや、現店舗が江原道所有の江原道民会館内で賃借料を免除されていること等から、江原道庁からの派遣職員2名の人件費は除き、2015年からは独立して採算がとれるようになっている。
    一方で、売上げが年々増加しているにも関わらず、顧客数はほぼ横ばいで推移している。(表2)
    このため、店舗でのパンフレットやチラシ配布などを行っているものの、多くの地域住民に対する江原道PRが十分になされていないという指摘もあり、今後は、店舗を訪れる顧客数をいかに増やすかが課題である。


    (表2)顧客数                                       (単位:人)
    ‘09 ‘10 ‘11 ‘12 ‘13 ‘14 ‘15 ’16.11
    36,497 39,867 44,963 45,035 45,658 42,495 45,120 41,794


    江原道の魅力発信の取組み
    江原道アンテナショップでは、顧客会員約4,000名を対象に、春と秋の年2回、山菜採りやキムチ漬け体験などを通じて、江原道の魅力を体験できる日帰りのツアーを実施し、江原道へ招待している。参加希望者は店舗に設置している応募用紙を提出すれば、先着順で参加できる。
    今後は、数年以内にレストランを併設し、地元の食材を使用した料理を提供することで、江原道のPRを図る予定にしている。


    おわりに
    一般財団法人地域活性化センターが行った「平成27年度自治体アンテナショップ実態調査」によると、東京都内に出店している自治体アンテナショップ全55店舗のうち、2014年度年間売上げが7億円以上10億円未満の店舗は3店舗であり、2016年11月現在で9,768百ウォン(日本円で約9億4千万円。100円=1,038ウォンで計算。)の売上げがある江原道アンテナショップは、これら日本のトップクラスのアンテナショップと同等の売上げを誇る。
    また、江原道アンテナショップは、江原道産の物に特化した差別化や徹底的なコストカットにより独立採算を成し遂げており、地方自治体からの公的資金を必要としない優良事例である。このような経営方策は、日本の各地方自治体にとっても、今後のアンテナショップの運営の参考になるのではないだろうか。



    毎週水曜日、会館前で開かれる直産市場



    江原道産の農水産物が所狭しと並んでいる店内の様子