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過去の開催実績

  • 2016年度 第1回
  • 多文化共生~外国人住民センターとタサンコールセンター~
  • 2016年6月3日

    京畿道安山市、ソウル特別市

  • 2016-07-05
  • クレア・ソウル事務所では、1994年から、韓国に派遣されている日本の地方公務員を対象として「クレアソウルセミナー」を開催しています。
     このセミナーは、韓国に駐在する日本の地方公務員を主な対象として、国際交流分野(観光・物産・文化等)における知識向上や理解促進、駐在員として活動する上でのスキルアップなどを目的として、毎年度4回程度開催しています。
     
    (1)日時
      201663日(金)10~18時まで
    (2)場所
      京畿道安山市、ソウル特別市
    (3)参加者
      韓国駐在の地方公務員29
    (4)内容
     今年度第1回となるセミナーは、京畿道安山市の安山市外国人住民センターとソウル特別市のタサンコールセンター、JETROソウル事務所を視察しました。このうち、外国人住民センター及びタサンコールセンターの取組みについて以下に紹介します。

    ■安山市外国人住民センター
     京畿道安山市(きょんぎどうあんさんし)に設置されている外国人住民センター等の取組みについて、安山市の多文化政策課長より説明を受けました。
     
    <在住外国人の状況>
     韓国は、総人口の約3.4%(約195万人)を外国人住民が占めます。その中でも、京畿道安山市は、ソウル中心部から車で一時間ほどに位置し、工業地帯で仕事が多く、交通の利便性も良いため、外国人に人気の地域であり、人口約75万人のうち外国人住民が約74,000人(約10%)と、韓国を代表する外国人集住地域です。国籍別には、中国が最も多く、ウズベキスタン、ベトナム、インドネシアなど89カ国の人々が生活しています。
     
     そのような安山市において、特に外国人住民が集住している地域が「元谷洞」です。「元谷洞」は、住民の約70%を外国人が占めており、メインストリートには様々な国の商店が軒を連ね、別世界に足を踏み入れた気分になります。その「元谷洞」の一角、2008年度に開設されたのが安山市外国人住民センターです。センターの人型のシンボルマーク「Daddy-Long-Legs」は、58ヶ国の国旗で人体を形成しており、「私たちはひとつ」というメッセージを表しています。

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     安山市外国人住民センターの外観】

    <施設の運営体制>
    センターには約40名のスタッフが勤務しており、月2万人の利用者の対応にあたっています。主に、多言語相談翻訳窓口、大学と連携した健康診断、住民向けの韓国語教室の開催など、外国人住民向けのサービスを提供するほか、海外送金に対応した365日営業の民間銀行も併設されています。特に、11カ国の言語に対応した多言語相談翻訳窓口は年間5千件以上の相談があり、住民にとっての重要な情報源となっています。
    また、センターでは、お祭り、スポーツ、音楽などソフト面での「多文化共生」支援として、韓国人と外国人の子供の混声合唱を実施したり、ハード面では、今後、各国の文化を体験できる施設の運営を検討するなど、「多文化共生」実現に向け、ソフト·ハード両面において事業を実施しています。
     
    <今後の課題について>
     一方で、今後の課題として「多文化共生」に関する教育の必要性があります。「多文化共生」において、外国人住民に対する支援は重要である一方、現地住民(韓国人)の意識改革が必要です。外国人住民が地域社会に溶け込み、地域の一員として活躍するには、現地住民が外国人住民を受け入れることが必要だからです。センターの職員は、この教育面の改革の必要性を強く感じていました。
     日本にも浜松市など外国人集住地域が存在し、今回視察した安山市と同様の課題を抱えていると思います。これまでも、日韓の外国人集住地域間で情報共有の場が設けられていますが、今後さらなる連携強化が図られることが期待されます。
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    【全員の集合写真】


    ■タサンコールセンター
     ソウル特別市が設置・運営する総合電話案内・相談センターについて、ソウル特別市の担当者より説明を受けました。
     
    <施設の概要>
    タサンコールセンターは2007年、市民からの相談に対応するためにソウル特別市が設置しました。それまでは市民が行政に関する質問や相談を行っても、担当部署間でたらい回しにされ、市に対する対応満足度が約30%と大変低いものであったそうです。そうした市民の不満に対し、ソウル市内部で検討が進められ、タサンコールセンターが設置されました。事業費は197億ウォン(日本円で約2,167百万円)、そのうち169億ウォンは人件費、28億ウォンは運用管理費が占めています。
    現在、このコールセンターは24時間365日体制で相談サービスを行っており、昼間・夕方・夜間の3交代制で対応しています。勤務している相談員は415名で、37名の管理者を除く378名が実際に電話対応を行っています。コールセンターは市が民間会社2社に委託して運営されており、勤務する職員は全員がこの民間会社の社員です。相談員として採用されるためには、書類選考から面接を経て、5週間の研修を終了する必要があります。
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    【実際の電話相談の様子】

    <実際の相談対応>
    このコールセンターに寄せられる相談は、ソウル特別市の行政業務に関する問合せが多くを占めています。その他、16の市の傘下機関、25の自治区に関する相談を合わせて、ソウル特別市内の全般的な質問事項がコールセンターにかかってきます。
    ソウル市内で「120」にかけるとARS(音声応答システム)に繋がり、韓国語の音声案内が流れた後に案内を希望する番号を押すと、各相談員に繋がるようになっています。
    ()1番交通 2番水道 3番一般相談 4番電話番号案内 5番職場間苦情相談
     さらに、タサンコールセンターは外国人からの相談にも対応しており、9番を押した後に各番号を押すと、外国語による相談を受けることができます。
    ()1番英語 2番中国語 3番日本語 4番ベトナム語 5番モンゴル語
     なお、外国人からの相談件数は中国語が最も多く、モンゴル語、ベトナム語と続きます。これらの言語は韓国への移住者が多く使用しており、生活関係の相談が多く寄せられます。一方、英語や日本語での相談の多くは観光に関するものが寄せられます。
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     コールセンターでは、相談員が標準的な相談をすぐに受けられるようにデータベースが構築されており、キーワード検索でデータベースを確認し、市民からの相談や質問に回答しています。
     このデータベースには約12,000件の相談内容が登録されていて、各相談員が随時情報の更新を行っています。

    <運用の成果>
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    (※注 一次処理率:相談員が口頭で説明できる割合)

    コールセンター開設時から今年度までに、認知度は80%以上に上がっていて、ほとんどの市民がコールセンターの存在を認知しています。実際の相談において、一次処理で対応が難しい場合は担当公務員に繋げますが、現在の一次処理率は約8割となっています。この高い一次処理率は、データベースの精度が向上したことが大きな要因と言えます。
     
    <問題点と対策>
     コールセンターは手軽に相談を行うことが出来る一方で、対面相談ではないため、相談者が感情的になり、相談員が傷つけられることもあります。相談員に対するセクハラや侮辱等の不法行為に対しては、法的対応を取ることで相談員を保護しています。
     具体的には、内部基準に従い、セクハラは1回目、侮辱等は4回目で告訴手続きを行っていて、多くの場合は罰金刑(約1,000万ウォン)に処されています。こうした法的措置の適用により、悪質な電話の9割が減少しました。