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大統領選挙時の公約の一つである「検察改革」を遂行するため、文在寅大統領がチョ・グク前大統領府民情
首席秘書官を次期法務部長官(法相)候補者に指名すると(08.09)、野党は、かつて彼の言動と行跡を問題
視し、人事聴聞会でも多くの議論が巻き起こりました。
しかし、チョ・グク候補と与党は違法性がないことを強調し、人事聴聞会は候補者の業務能力と資質、
高位公職者としての高い道徳性を検証するだけで、違法性は司法機関の判断に任せればいいと主張しました。
このいわゆる「チョ・グク事態」を招いた原因は、私学財団の運営、私募ファンド、子どもの大学・
大学院進学及び奨学金に関する疑惑でした。
韓国社会では大学入試に関連した疑惑は、特に関心が高く敏感で、当時、高校3年生であった子女が高度
な学術論文の第1著者として名を連ねていることや、奨学金の受給資格への疑念は、大学生・大学院生らに
不公平感を感じさせ、大学キャンパスデモの導火線になりました。
これらの疑惑が渦巻く中、チョ・グク候補者は法相に任命され(09.09)、さらに世論は急激に悪化しました。
保守系野党は、国会外で大規模な抗議集会を開くととともに、党指導部が抗議の「剃髪」を行い、ソウル
大学等では学生などが「チョ・グク法相任命に反対するろうそく集会」を開き(09.21)、子どもの不正入学に
対する追及と退任を要求しました。
また、全国290大学4000人余りの前現職の教授たちが、青瓦台(大統領府)の前で、チョ・グク法相辞任を
通じて、社会正義の回復を要求する(09.20)など反響は拡大し、政権発足当時(2017.06)、84%だった文在寅
大統領の支持率は就任後、最低の40%台に落ちました。
こうした中、保守系野党は、青瓦台を望む光化門広場に集まり、「現権力に対する捜査こそが改革ではない
のか」との論理で、「チョ・グク辞任」を求める(10月3日の集会では主催側発表で300万人が参加したという) 一方で、検察の広範囲な家宅捜索を「改革に対する抵抗のための度を越えた捜査」と見る見方も大統領支持層
を中心に広がり、チョ・グク法相の自宅に対する11時間の家宅捜索(09.24)を機に、ソウル中央地検の前で「チョ・グク守護と検察改革」を叫びながら、週末ごとにろうそく集会が開かれました(9月28日の集会では
主催側発表で200万人が参加したという)。こうして、2大政党が二つの広場に分かれて争い、世論を二分して
鋭く対立する事態となりました。
こうした国論の分裂や政党が国民に直接集会等への参加を呼びかけ、支持を訴えかける「広場政治」の様相
を呈する中、チョ・グク法相は結局、就任35日後の10月14日に辞任しました。
文在寅政権に対する「中間評価」となりうる第21代国会議員選挙が6ヵ月後に迫る中、チョ・グク法相の
任命に伴う韓国社会の分裂が今後どのように収拾されていくのか、また、チョ・グク前法相が方針を示した
検察改革が今後どのように推移していくのか、動向が注目されます。