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新型コロナウイルス関連情報

新型コロナウイルス関連情報

  • アップデートし続ける韓国の防疫対策
  • 2021年01月25日
  • 5段階の防疫対策
    韓国では「社会的距離置き」という新型コロナウイルスの防疫対策を行っている。社会的距離置きは5段階のステージに分けられ、週平均の1日の感染者数等によって段階を設定、運用している。段階に応じて、集会やイベントの人数制限や実施禁止、施設の入場制限や飲食店等の営業制限などが実施される。
    韓国政府は新型コロナウイルス流行の長期化を見越し、社会生活への影響を最小限に抑え、持続可能な防疫対策を実施するために、3段階に設定されていた社会的距離置きを2020年11月に5段階に設定しなおした。3つの段階では、ステージごとの対応に大きな差があり、段階が上がることに社会的抵抗感があったが、段階を細分化し、上げ幅を緩やかにすることで、経済活動等の影響が最小限となるようにした。一方で、大きな流行が起きていない通常時の防疫対策が重要として、マスク着用のような基本的な防疫対策を強化、段階に応じた場面でマスクの着用がなされていない場合は過料が科せられるなどの措置を新しく盛り込んでいる。コロナウイルス発生直後に比べ、ウイルスに関する知識が蓄積され、また当初の防疫対策に関する問題点、防疫対策と経済活動との両立のために、対応を整理しなおしたのである。

    QRチェックインの普及
    マスクの着用が難しく、多数の集団感染が発生しているクラブやカラオケ、飲食店(150㎡以上)等の「重点管理施設」や、集団感染が発生したり、人の密集、密接が起こりやすいネットカフェ、映画館、学習塾等の「一般管理施設」の一部では、出入者リストの作成が義務付けられ、入店時に連絡先や居住自治体などの記載が求められる。紙のリストに手書きすることも可能であるが、店に設置された端末に自身のスマホに表示させたQRコードを読み取らせる「QRチェックイン」の利用が普及している。
    韓国では、携帯電話番号と日本のマイナンバーのような「住民登録番号」を連携させることができ、本人認証をすることですべてのサービスが使えるといったアプリも珍しくない。韓国人は出生時に住民登録番号が付与され、また、韓国に長期滞在する外国人も出入国管理センターで外国人登録番号が作成され、住民登録番号と同様の役割を担う。日本でよく使われる「LINE」のようなトークアプリ「kakao talk」や、インターネット検索アプリ「NAVER」などのアカウント取得の際にも、住民登録番号を紐づけることができる。この機能を活用し、出入者リスト作成が義務付けられている施設では、入場する際に、「kakao talk」や「NAVER」などのアプリで取得できる本人情報の入ったQRコードを記録している。
    出入者リストが義務付けられた事業者は、韓国政府の保健福祉部が無料で提供している「電子出入者リスト」アプリをスマートフォンやタブレット端末にダウンロードすれば簡単にQR チェックインの対応が可能である。手書きのリストは情報が不正確であったり、不特定多数の人が見る可能性がある一方で、QRチェックインはその心配もなく、書く手間やペンを触る不安もなくなるため、QRチェックインを利用する人は多い。
    QRチェックインの情報は暗号化された上で「電子出入者リスト」アプリに保管されるため、事業者側が個人情報をそのまま見ることはできない。陽性者が発生し、追跡調査が必要な際に、防疫当局が暗号化された電子出入者リストの情報と「kakao talk」や「NAVER」等の運営会社が管理している個人情報の2つを合わせて利用者を特定することとしている。また、電子出入者リストは4週間経つと自動で破棄されるなどの情報管理が行われている。
     
    感染状況の周知と感染者の情報保護
    韓国では感染者が出た場合、感染者が居住する自治体が自治体サイトやブログで移動経路等の情報を掲載。通信会社を通して周辺住民の携帯電話へ感染者が出た旨を通知する緊急メッセージも送付される。韓国政府の疾病管理庁は、感染者の移動経路等の情報公開について指針を定めており、各自治体は指針に沿った情報公開を行っている。公開される情報は、感染確認日、症状発症日および症状、推定感染経路、隔離や消毒等の防疫措置状況である。個人が特定されるような情報、氏名や年齢、住所、職業等は非公開。症状がない場合は、移動経路は検査の2日前から公開。不特定多数と接触する可能性がある場合、訪問場所や施設、移動手段の公開はされるが、接触者が把握できている場合は公開しないこととしている。
    不特定多数の人が利用する施設等で感染者が出た場合には、陽性者が来場していた日付、場所等が通知され、その施設の訪問者は最寄りの保健所に相談、症状がある場合は検査を受けるよう促される。このほかにも韓国政府の保健福祉部から、防疫対策の段階の変更や、感染拡大が心配される連休・イベント時の感染予防の徹底など、
    様々な通知が来る。


    大規模集団感染の教訓
    現在実施している防疫対策は、これまでに蓄積された医学的知識を反映したものであることに加えて、韓国で発生した集団感染で浮かび上がった問題点を反映したものでもある。電子出入者リストは、2020年5月に発生した梨泰院のクラブの集団感染がきっかけで導入された。店では手書きのリストを作成していたが、虚偽の情報を記載した利用者が多く、追跡調査が難航した。利用者の特定に時間がかかり、感染がさらに拡大したため、政府は2020年6月には電子出入者リストの運用を開始した。
    未だ不明な点も多いウイルスであるが、国がウイルスと共存していくことを明言し、より効果的な防疫対策となるよう、政策を打ち出し続けていることは特筆すべきことである。施設や店舗の営業制限、違反時の過料の徴収なども、事例の蓄積があり設定されたものであるが、ワクチンの普及や新しい治療方法が確立されれば、全く違うものになっているだろう。アップデートし続ける韓国の防疫対策を今後も注視していきたい。