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韓国地方行政研究院との連携

過去の開催実績

  • 2013年 共同セミナー
  • 日韓の地域共同体活性化施策について議論 ~2013年CLAIR-KRILA第2回共同研究会及び共同セミナー~
  • 2014-03-03
  •  ソウル事務所では、2009年度に「韓国地方行政研究院(KRILA)」と「協力及び情報交流に関する協約(MOU)」を締結し、2010年度より共同で研究活動やシンポジウムを開催しています。
      今年度は、「自治体における地域共同体活性化方策」をテーマとし、第1回研究会を2013年6月19日(水)に開催し、第2回研究会を2013年8月28日(水)に開催しました。
      2013年11月20日(水)には、その集大成ともいえる共同セミナーをKRX韓国取引所で開催しましたので、第2回研究会の開催概要と合わせてその内容を報告させていただきます。

    1 CLAIR-KRILA第2回共同研究会(2013年8月28日開催)
      第2回共同研究会では、第1回の施策概要の発表からもう一歩踏み込んで、国の施策を活用した地域共同体の事例について日韓双方から発表しました。
     まず日本側は、総務省の施策「地域経済循環創造事業」を活用して徳島県が実施している主な取組みについて、徳島県経営戦略部の八幡部長より発表がありました。続いて、実際に支援を受けている株式会社丸本の近藤常務取締役から、徳島県産地鶏の「阿波尾鶏」を使って畜産と農業の地域資源を連携することによって、新たな「資源循環の構想」を創設し、さまざまな事業展開を進めていることについて発表がありました。
     自治体、事業者それぞれの視点から、国の制度をうまく活用しながら、お互いの目的を達成し、それを結果的に地域の発展につなげようとしていることが伺えました。
     
    第2回共同研究会の様子(場所:韓国地方行政研究院)
    第2回共同研究会の様子(場所:韓国地方行政研究院)
     
     また、韓国側は、マウル企業制度について、背景や推進経過を始めとして、2013年のマウル企業の事業概要や推進体系・役割など、現在の計画内容をより詳しく説明されました。続く事例発表では、成功事例を示しながら政策開始以降、マウル企業の数や総売上が増加し、運営成果があがっているとしつつも、現在「マウル企業が抱えている問題点や発展課題※」についても、率直にお話いただきました。

    2 CLAIR-KRILA共同セミナー(2013年11月20日開催)
    【日本側】
    ○基調講演「課題解決先進県・徳島のチャレンジ」~ピンチをチャンスに!~
     全国知事会副会長/徳島県知事 飯泉嘉門

     「徳島県は、少子高齢化等、日本全体の課題が最初に訪れる課題先進県です」という説明から講演はスタートしました。しかし、その後は「その課題を徳島の知恵と工夫で解決し、その処方箋を全国に発信することによって日本のモデルとなっていくことを目指しています」と続きました。徳島県では、そのピンチをチャンスと捉える発想の転換によってなされている取組みについてご説明いただきました。
     最初に日本の成長戦略についての説明、その中でも今回の研究会・セミナーで多く取り上げられてきた総務省の新たな事業「地域経済循環創造事業」についての説明、そしてその事業を積極的に活用した徳島県での取組み、そして最後に現在徳島県で力を入れている取組み(「LEDの推進」「光ブロードバンドの推進」「自然エネルギー導入」)について明朗快活にわかりやすくご説明いただきました。
     
    共同セミナーの様子:日本側基調講演(場所:KRX韓国取引所)
    共同セミナーの様子:日本側基調講演(場所:KRX韓国取引所)


     韓国では、東京や大阪、北海道等有名な都市を除いて、日本の地方については知名度が低いのが現状ですが、徳島県と言う1つの地方自治体が知恵を絞っていろいろな課題を乗り越えていこうとする姿、いわゆる「地方の底力」を韓国の方々に知っていただくよい機会になったのではないかと思います。

    【韓国側】
    ○基調講演「地方自治体における地域共同体活性化戦略」
     延世大学行政大学院教授/前 京畿道知事 権限代行 林秀福(イム・スボク)

     韓国側では、「地域共同体」にフォーカスを当て、韓国での地域共同体活性化の必要性、戦略の推移、政策の現況と事例等について幅広くお話いただきました。そして、活性化に向けた提言として、生活空間自治の手段として「住民自治会※」の機能を強化すること、「第2セマウル運動※」を基盤として地域共同体の活性化を進めていくこと、があげられました。今後の課題としては、教育・訓練及びコンサルティングのための専門機関の設置、マウル指導者の発掘及び育成、コミュニティ・ビジネスに対するモデル事業の推進などが示され、続けて国・地方自治体のそれぞれの役割についても示唆されました。

    ○セッション
     座  長 李達坤(イ・ダルゴン)〔嘉泉大学教授〕
     発表1  主 題 日本における地域共同体活性化~コミュニティ・ビジネスの側面から~
     発表者 高田 寛文(たかだ ひろふみ)〔政策研究大学院大学教授〕
     発表2   主 題 近隣基盤の住民自治と地域共同体構築の課題
     発表者 崔秉鶴(チェ・ビョンハク)〔忠清南道発展研究院先任研究委員〕
    討  論 討論1:木村 陽子(きむら ようこ)〔日本自治体国際化協会理事長〕
    討論2:畑山 栄介(はたけやま えいすけ)〔総務省自治行政局地域政策課理事官〕
    討論3:八幡 道典(はば みちのり)〔徳島県経営戦略部長〕
    討論4:鄭泰沃(ジョン・テオク)〔安全行政部地域発展政策官〕
    討論5:?昌馥(ユ・チャンボク)〔ソウル市マウル共同体総合支援センター所長〕
    討論6:?玄鎬(キム・ヒョンホ)〔韓国地方行政研究院地域発展研究室長〕

    【発表】
     日本側の発表では、コミュニティ・ビジネスについてご説明いただきました。第1、2回研究会で発表された施策や事業はいわゆる「コミュニティ・ビジネス」に属する事業でしたが、そもそも「コミュニティ・ビジネス」とは何なのか、というところからスタートし、その社会的位置づけ、各省庁の支援の現状等についてお話いただきました。また、日本ではコミュニティ・ビジネスは主体や分野が多岐にわたりますが、その中でも客観的に見て「成功事例」と言われるものついてご紹介いただき、コミュニティ・ビジネスの概念について体系的に知る時間となりました。
     一方、韓国側の発表では、パク・クネ政府が目指す政府3.0オーダーメイド型住民サービス(国民の個々人に合わせた政府)について、住民自治との関係性について触れながら説明があった後、住民自治の制度・運営面からの現況について、他国(日本含む)の住民自治の事例と比較もしつつ説明がありました。また、基調講演でも話が出た住民自治会や、「住民自治センター※」などの自治共同体の構築・機能強化を通して、住民自治の機能を持たせようとする政府の取組みについて、さまざまな視点から説明があり、盛りだくさんの内容でした。
     
    共同セミナーの様子:討論(場所:KRX韓国取引所)

    共同セミナーの様子:討論(場所:KRX韓国取引所)

    【討論】
     討論では、討論者一人一人が発表を聞いて、それぞれの立場からご自身の意見を述べられました。中には経験に基づく助言や提言もあり、また会場からも発言があり、それぞれの専門分野で活躍していらっしゃる方々の視点に基づく意見を聞くことができ、非常に興味深く、有意義な時間でした。ただ、時間をたくさんとったつもりでしたが、気づいてみれば予定時間を50分も超えていました。にもかかわらず時間が足りず、日韓双方の深い議論とまではいかなかったのが残念でした。

    3 おわりに
     日韓の制度は共通点も多いと言われますが、研究を進めるにつれ、それぞれの国の違いが顕著になる研究会・セミナーでもありました。しかし、共通点を見つけることよりも、「違う」と言うところを認め、興味関心を持ち、研究し合うことが、お互いの国を理解する材料の一つになり、また相互発展にもつながるのではないかと思いました。
    (長谷所長補佐 富山県派遣)    
     
    ※マウル企業が抱えている問題点と発展課題
     韓国のマウル企業は、日本のコミュニティ・ビジネスと違って、経営者がその事業だけで生計を立てるのは難しく、主に副業で行っているため、本当の雇用 創出といえるのかについて議論があること、また政府の支援金に対する過度な依存により事業継続が難しいこと、少数のリーダーに対する過度な依存によって後 継者育成が難しいこと、などについて問題提起され、それをいかにして解決していくかがこれからの課題だと話された。

    ※住民自治会
      近隣(生活空間)自治の手段として、既存の邑面洞(市郡区の下位行政区画)の住民自治委員会が地方行政の一部に直・間接的に介入し、地方自治体と協議権限 を遂行できるようにその機能を強化した組織20~30人で構成され、各構成員は推薦を受けた地域代表又は公開募集を通じ選定された一般住民、又は職能代表 から構成され、市郡区の選定委員会を通じ住民自治委員を委嘱する。

    ※第2セマウル運動
     1970年代に推薦されたセマウル運動の基本基調である勤勉、自助、共同精神に、分かち合い、ボランティア、配慮の実践すべき徳目を加え国民統合を引き出す共同体回復への昇華運動。

    ※住民自治センター
     1999年に住民自治機能及び住民のための文化、福祉、利便機能を遂行するために設置。